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別に放っておいてもよかったのだが、話しかけてみた方がいい気がした。
「被写体に選んで頂けるとは光栄ですね。」
既にそっぽを向いた横顔に僕は声をかけた。
ジャコン、ジー。
「僕のこと、写真に収めていましたよね?」
ジャコン、ジー。
「あのー。」
ジャコン、ジー。
「もしもーし。」
ジャコン、ジー。
「...はぁ、自意識過剰も大概しては如何ですか?」
話しかけて、かわされてを幾度か繰り返し、ようやく得られた返答は中々に辛辣であった。
「レンズを向けられていたのは間違いないと思うのですが。」
僕は臆せず食い下がる。
年下に怖気づく訳にはいかない。
「アナタを撮った訳ではありません。アナタの心を撮ったのです。」
話しかけたのは正解だったようだ。
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