パレット

トゥムナー通り

「心を撮ったとはどういうことでしょうか？」
僕の度重なる取材の中でもまだ出会えていないタイプのカメラだ。
是非に詳細が聞きたい。
僕は空想でペンとメモ帳を用意した。

「なにゆえ僕がアナタにそれを説明しなくてはならないのですか？」
斜め下からヒヤリとするような視線が飛んでくる。
「えっと...そうですね、僕が君の写真に興味があるからでしょうか？」

ジャコン、ジー。
僕が少年の質問に答えた矢先、彼は僕にレンズを向けてシャッターを切った。
レンズの下の細長い口から写真が出てきた。
「心を撮った、そのままの意味です。被写体としたモノの心が色や形を成して現像されるカメラなんです。」
少年はそう言って僕に出てきた写真を手渡した。