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「これでお願いします。」
入路申請を書き終え、ルアに申し出る。
「…ショルイ二ヨルシンセイヲジュリシマシタ。ヒダリテオクデモチモノケンサヲスマセ、デレットヘオススミクダサイ。」
僕は好き勝手に雑誌を書く為、路地から路地へ、根無し草の様にフラリフラリと歩き回っている。
故にこの一連の手続きは目を瞑っても滞りなく行えるほど回数を重ねている。
「…ケンサシュウリョウデス。ソレデハダイ9デレットへオススミクダサイ。」
デレット、この街を構成するルアに並ぶ大きな因子の1つだ。
一言で表せば、デレットは出入り口だ。
各路地の何処かの端が中央庁の管理するこの塔に繋がっている。
デレットを通る事でこの街の住人は他の路地へ行くことが出来る。
複数の大小様々な形のパネルのようなパーツが集合体を成し、形とも言えぬ形で佇んでいる。
時折脈打つように揺れるそれは、宛ら生きているとすら錯覚させる。
ルア同様、誕生の経緯を知る者はいない。
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