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「リーネアヲハツゲンサセマス。トウロクカショヲルア二チカヅケテクダサイ。」
ルアに促され、僕は自分の顔をルアに近づける。
すると、僕の左の頬に月見草の模様が薄っすら蒼色の光を纏って現れる。
この街の住人は18歳になると他の路地へ行くことが許される。
18回目の誕生日を迎えるその日、中央庁で登録するのが、このリーネアだ。
模様は自由、自分でデザインしたものでもいいし、中央庁が用意するサンプルの中から選んでもいい。
ただし、常に露出する位置への登録が義務付けられている。
選んだ模様は登録後、初めてデレットを通る際に指定した位置に刻まれる。
刻まれると言っても、痛みを伴う訳ではない。
浮かび上がると言った方が感覚的には正しいかもしれない。
リーネアは別名、“余所者の印”と呼ばれている。
街の住人が戸籍を置いている路地以外に足を踏み入れる時、リーネアがルアによって発現される。
よって、傍から見れば、その路地の住人か否かは一目で分かるということだ。
あくまで人に寄るとは断っておくが、リーネアがあるからと除け者にしようとする人はどの路地にも多かれ少なかれいる。
リーネアの役割は入路者の保護である。
余所者の印、それは入路者を守る印でもある。
他所の路地で何か事が起きた場合でも、リーネアの発現が確認されれば、原則は戸籍のある路地の規則に準じた対応をしてもらえる。
小さなスケールで混沌と化したこの街では無くてはならないものなのだ。
因みに僕のリーネアの模様はオリジナルだ。
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