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ここで貧乏エピソードをいくつか書いておこう。
とはいえ、あんまり悲惨なのはいやなので、楽しいものにする。
一つ目は、寿司屋の話だ。
今でこそ、100円の回転寿司はメジャーだし、そんなに贅沢なものだという認識を持つ人はいないかもしれないが、当時の俺にとって寿司は特別な日にしか食べられない、まさにご馳走だった。
ある時、寿司屋に行った。
回る寿司を見て、目を輝かせた俺に言われた言葉
「金のお皿や柄がついてるお皿には毒が入ってるのよ!大人になれば大丈夫だけど、子供が食べたら死ぬから食べちゃダメ!」
・・・今思うとかなり荒唐無稽ではあるが、割と長いこと信じていた。
ピュアな俺であった。
ちなみに今でも回転寿司で値段を気にせず食べられることは、自分にとって幸せの証だと感じる。
二つ目は、カニ食べ放題の話だ。
ある時、家族でカニの食べ放題に行った。
カニ味噌、カニ鍋、、、、とても高級そうだった。
食べている最中、俺は涙を流し始めた。
ポロポロ泣きながらカニを食っているのだ。
驚く母が俺に問う。
「どうしたの?」
俺は答える。
「だって、この後、僕達は死んじゃうんでしょう?」
どうも当時の俺は、こんなに貧乏なのに、こんなに高そうなカニを食うのはおかしいと考え、そうして出てきた結論が、「これは最後の晩餐なんだ。これを食べたら家族でそのまま海に車ごと突っ込んで死んでしまうんだ」というものだったようだ・・・
実際には、会社で割引券だか無料券だかをもらっただけらしい。
なんというか、我ながら想像力がたくましいというか・・・
まあそれほど貧乏な生活をしていた、ということなのかもしれない。
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