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俺はそこそこ勉強ができた。
あれだけ本を読んでいたから当然かもしれないが、作文が得意で、語彙力もあった。
計算もとても早く、暗記も得意だった。
ある時、勉強で困っている友人に何気なく勉強を教えてあげた。
その時に言われた言葉。
「すごくわかりやすい」
「先生よりわかりやすかった」
「君がいてくれて良かった」
これだ、と思った。
これこそが自分の存在価値だと思った。
自分なんて生まれなければ良かったと感じていた俺にとって、誰かに必要とされることこそが、存在意義なんだと思った。
小学生の卒業文集に書いた将来の夢は「教師」だった。
人に教え、導くことで必要とされたいと思っていた。
そんなありふれた、でも少し複雑な小学校生活だった。
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