一 幼少期から小学生時代まで

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俺はそこそこ勉強ができた。 あれだけ本を読んでいたから当然かもしれないが、作文が得意で、語彙力もあった。 計算もとても早く、暗記も得意だった。 ある時、勉強で困っている友人に何気なく勉強を教えてあげた。 その時に言われた言葉。 「すごくわかりやすい」 「先生よりわかりやすかった」 「君がいてくれて良かった」 これだ、と思った。 これこそが自分の存在価値だと思った。 自分なんて生まれなければ良かったと感じていた俺にとって、誰かに必要とされることこそが、存在意義なんだと思った。 小学生の卒業文集に書いた将来の夢は「教師」だった。 人に教え、導くことで必要とされたいと思っていた。 そんなありふれた、でも少し複雑な小学校生活だった。
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