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中学生になった俺は、ついに真実を知ることになる。
あれは多分、4月半ばぐらいだった。
中学校に入ってすぐだった。
ある夜、母から話があると言われた。
少し緊張しているように見えた。
「あんたももう中学生になったから、一人の大人として扱う」
そんな前振りから始まった話は、12歳の少年にどれほどの衝撃を与えただろうか。
ー俺は不倫の末避妊に失敗して生まれたということ
ー父と母は離婚しているということ
ー不倫の慰謝料を払うために家計が苦しくなったということ
ー今も家計は苦しく、借金を返済しながらの暮らしだということ
ー迷惑をかけるが、協力して欲しいということ
母はすべてを語ったわけではなかった。
だけど俺はこの時初めて知って
そして、「腑に落ちた」
ああ、だから、父は冷たかったのか
だから、うちは貧乏なのか
だから、俺は自分に自信がないのか
だから、誰かに必要とされたいのか
だから俺はー
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