二 中学校時代

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合格発表の日 自分の番号を合格ボードに載っているのを見つけたときは、涙が出そうなほど嬉しかった。 無事、高校に合格でき、心の底から安心した。 しかし、当然のことながらこの一件で親に対する不信感は強まっていった。 そして何より、自身の将来はどうなるのかと不安になった。 またこの時期から、親からお金の話をされることをされることが増えたように記憶している。 「お金がない」 「今月も苦しい」 「お金がない」 「お金がない」 「生活が苦しい」 「あんたを育てるのにも多くのお金がかかっている。つらい」 「お金がかかるけどあんたを育ててやっている」 俺にとっては、呪いの言葉だった。 自分にも原因があると思い、いつも自分を責めていた。 俺は、育ててくれた親の恩に報いなければならないといつも思っていた。 なんとか、なんとかしなくては。 でも、どうやって。 答えはわからなかった。 そんなありふれた、でも少し複雑な中学生活だった。
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