最終回!? 回避不能な返礼品

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ウキウキな気分で、オリジナル時計機能を説明してくる彼女に、彼は合わせ笑いを含みながら、頷いていた…。 それに、呼応するかのように彼女もまた、奥底に秘めた感情を押し隠しながら、笑っていた…。 …ホワイトデー当日…。 案の定、彼は『仕事で遅れる!ごめんね!』 LINEを送り返してきた。 約束反古できるわけのない、腕時計をしているはずなのに…。 ここで、彼女が彼にプレゼントした時計について、ラブラブプロミスボイス以外の機能を追記する。 ・一度、手首に巻くと、特殊な工具がない限り外せない。(標準以上の完全防水で強固、手首に馴染む効果絶大) 彼は外れなかったらしょうがないか…気にもならないし、とりあえずほっとこうと思ってます。 ・ラブラブプロミスボイス機能をoff設定にした場合に、まわりの音声を鮮明に記録する盗聴機能へと移行する。 彼は、その日、約束の時間に遅れてきた三時間?も前にoff設定にしてしまいました…。 ・盗聴機能移行後は、購入者のパソコンやスマホなどの登録メディアでいつでもリアルタイムで盗聴音声を聞くことが可能。 はい、彼女は彼の忙しい、ある意味、把握できない空白の三時間の真実を全て耳で拾得していました。 彼女がオプションにより、付加させた機能は以上である。 が、これで十分であった。 別の女の影を、浮気の事実を探すことなどは…。 薄々感づいてはいたが、その裏切り行為を目の当たりにしたくはない…しかし、音声だけだといっても、その次第に増していく不協和音の高鳴りは、更なる血潮を漲らせる結果に陥ったことは明白であった。 …そして、彼女の拳は彼の顔面を貫いた…。 拳に巻かれた彼からのプレゼントは純白のスカーフであった…。ハンカチ、タオルじゃねーのかよ!忘れてんなよ!とも一瞬よぎったが、結果、拳を痛めないように頂戴できたので正解ではあった…。 彼女の拳に巻かれたスカーフは真っ赤に染められた…。それは、情熱的な女の闘神を象徴するかのような 紅 であった。 それを見て、彼女は不敵な笑みを浮かべ、一言捨て台詞… 「もらったもん(傷心)は、どんな形であれきっちり返してやる(暴力)のが筋ってもんだよな? 覚えとけ!」 …カチャン!!…彼女は腰が抜け落ちた彼の前に、異形の工具らしきものを投げ捨てた…。 …彼は唖然茫然しながらも何かに目覚めていた…。拳の贈り物…痛切なる快感に…。 完
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