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「見るからに護衛ですーって感じの目つきの悪いオニイサンとかが身近にいるのって、けっこう鬱陶しいもんだよ。自分を重要人物に見せたいとか、見せびらかしたい人は別だけど。目立つのが嫌いな人もいるからね。その点、侍女や従者、従僕なんかは側についてるのが当たり前で、わざわざ目に留める人はいない」
確かにそうかもしれないとソニアは頷いた。
「こちらの特色についてはわかりました。でも、どうしてギヴェオンがわたしの従僕になったの? 彼は空きに応募してきたのよ」
「今回の雇い主はこちらのエリックさんです。雇い主というか、依頼人ですね」
面食らうソニアにアビゲイルは頷いた。
「わたしたちは家事使用人斡旋業の他に、ある種の相談所を開いています。引き受けるのは主に錬魔術や〈神遺物〉が関わってくる事柄です」
ソニアは唖然としてアビゲイルを見返した。ついで壁際のギヴェオンを眺め、振り向いて背後のユージーンを見る。そしてまたアビゲイルに視線を戻した。
「あなたたち……、錬魔士なの?」
「無資格だけどねー」
飄々とした口調で悪びれもせずユージーンは肯定した。
「え……、国家資格なしで錬魔術を行使するのは取り締まりの対象になってるんじゃ」
「だから裏家業って言ったでしょ。ひとつ内密にお願いしますよ、ソニア嬢」
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