第23話 緊急時以外も役に立ちます。

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「見るからに護衛ですーって感じの目つきの悪いオニイサンとかが身近にいるのって、けっこう鬱陶しいもんだよ。自分を重要人物に見せたいとか、見せびらかしたい人は別だけど。目立つのが嫌いな人もいるからね。その点、侍女(レディーズ・メイド)従者(ヴァレット)従僕(フットマン)なんかは側についてるのが当たり前で、わざわざ目に留める人はいない」  確かにそうかもしれないとソニアは頷いた。 「こちらの特色についてはわかりました。でも、どうしてギヴェオンがわたしの従僕になったの? 彼は空きに応募してきたのよ」 「今回の雇い主はこちらのエリックさんです。雇い主というか、依頼人ですね」  面食らうソニアにアビゲイルは頷いた。 「わたしたちは家事使用人斡旋業の他に、ある種の相談所を開いています。引き受けるのは主に錬魔術(パラケミー)や〈神遺物(ヘレディウム)〉が関わってくる事柄です」  ソニアは唖然としてアビゲイルを見返した。ついで壁際のギヴェオンを眺め、振り向いて背後のユージーンを見る。そしてまたアビゲイルに視線を戻した。 「あなたたち……、錬魔士(パラケミスト)なの?」 「無資格だけどねー」  飄々とした口調で悪びれもせずユージーンは肯定した。 「え……、国家資格なしで錬魔術(パラケミー)を行使するのは取り締まりの対象になってるんじゃ」 「だから裏家業って言ったでしょ。ひとつ内密にお願いしますよ、ソニア嬢」     
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