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第24話 僕はもうダメなんだ。
今から半年ばかり前のことだ。休暇をもらったエリックは行きつけの酒場で飲んでいた。
そこは大学町ロイザでも学生や大学の職員はあまり来ない店で、息抜きにはちょうどよい場所だった。
エリックのような貴族の子弟に仕える従者たちがよく集まって、世間話をしたり、使用人ならではの愚痴をこぼしたりする。
その夜は親しい知り合いも来あわせず、エリックは酒場の主人と時折会話をする以外はほとんどひとりで飲んでいた。そこへ現れたのがオージアスだった。
悔しそうに、またどこか怯えたように、エリックは呟いた。
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