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第9話 こんな不意打ち、あんまりです!
翌々日、ソニアは知り合いの屋敷で開かれる舞踏会に兄とともに招かれた。わりと近くだったし、兄が一緒ということで公爵はあっさり外出を許可した。もちろん護衛としてギヴェオンを連れて行くという条件が外されることはなかったが。
馬車が走り出してまもなく、ソニアは違和感に襲われた。
「……ねぇ、道が違うんじゃない? ジョーンヴィル街はこっちじゃないわ」
差し向かいに座ったヒューバートが悪戯っぽく笑う。
「いいんだよ。別のパーティーに行くんだ。もっとくだけた集まりだよ。そっちの方が楽しいさ。ソニアも気取った集まりよりそういう方が好きだろ?」
「それはそうだけど……。でも、招待されて行かなかったら心配されるんじゃ」
「大丈夫さ。最初から断ってあるんだ」
ソニアはまじまじと兄を見返した。
「お父様に嘘をついたの?」
「ダメだと言われたらがっかりだからね」
こともなげにヒューバートは笑う。ソニアは呆れ返った。
「お兄様、大学に入ってずいぶん変わったわね!」
「僕はもう二十歳だよ。いつまでも父上の命令に唯々諾々と従ってはいられない」
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