第11話 そういう問題ではありません!

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第11話 そういう問題ではありません!

 今度こそ、ソニアは愕然とした。足元が急に崩れ落ちるような気がして、思わずよろけてしまう。ナイジェルが慌てて支えた。 「〈月光騎士団(ルーメン・ルーナエ)〉……? あの、貴族を襲撃している……?」  自分を刃物で襲った、花売り娘に扮した少年。いや、彼は〈月光騎士団(ルーメン・ルーナエ)〉をはっきり名乗ったわけではないが。それにしたって、まさか兄が過激結社のメンバーだなんて……。 「──ソニア!」  大声で名を呼ばれ、びくりと振り向く。人込みを掻き分けて兄が大股に歩み寄ってきた。ひどく顔がこわばり、血色が悪い。 「一緒に来てくれ、ソニア。紹介したい人がいる」  ヒューバートは早口に言ってソニアの手首を握った。急に引っぱられてよろけてしまう。ナイジェルはムッとした顔でヒューバートの肩を掴んだ。 「乱暴はよせよ、ヒュー」 「こいつは僕の妹だ」  いつになく荒々しい口調に目を瞠る。兄がこんな乱暴な喋り方をするのは初めて聞いた。 「そんなに急かさなくたっていいじゃないか。転んで捻挫でもしたらどうする」  自分を気遣う言葉にソニアは感動したが、ヒューバートは余計に苛立って眉を逆立てた。     
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