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ヒューバートがかすれた声で告げると、太陽仮面の男は重々しく頷いた。顔は見えないが、そう若くはなさそうだと何となくソニアは感じた。他の面々は兄と同じ年代の若者のような気がする。
太陽仮面の男が黙って指を上げると、頷いたヒューバートはソニアに向き直った。ずっと掴まれていた手首がずきずきと鈍痛を訴えた。
「ソニア。おまえにやってほしいことがある」
重病人のような顔色で兄は告げた。その額に汗の粒が浮いていることに気づき、ソニアはいてもたってもいられなくなった。
どう見ても兄は具合が悪そうだ。今すぐ休ませなくては。ソニアは兄を刺激しないよう、おとなしく頷いた。
「なぁに、お兄様。わたしにできることがあればおっしゃって」
「来週、王宮で皇妃主催の園遊会がある。おまえも招かれているな」
突然何を言い出すのかと面食らう。確かに招待されて出席の返事をしてあるが……。
「おまえには会場となる王宮の庭園に、あるものをいくつか隠してもらいたい。もちろん、誰にも見つからないように、だ」
「……あるものって、何?」
「知る必要はない。誰にもわからないようにこっそり置けばいいんだ。仕掛ける場所はあらかじめ指示するから、よく頭に入れて──」
「仕掛けるって何を!? そんな、わけのわからないものを王宮に隠せるわけないでしょ」
「おまえは言われたとおりにすればいいんだ」
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