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勢いよく閉まったドアの向こうから「ぎゃふっ」と叫び声が上がる。
ソニアは一瞬もがいて起き上がり、ティムの手を引いて転げ落ちるような勢いで階段を駆け降りた。
「なっ、何です、あいつは!?」
「殺し屋よ! とにかく逃げなきゃ」
どうにか踏み外さずに階段を下ると、ソニアは手近なドアから外に飛び出した。
凄まじい騒音に何事かと顔を出した建物の住民が、鼻を押さえて駆け降りてきた派手な格好の少年に目を丸くする。
よほど鼻を強打したのか、少年は涙目で上着の内側から拳銃を取り出した。住民の悲鳴と銃声が重なる。
弾はソニアの影をかすめてドアに当たった。
「クソ女ぁっ、ジャムジェムの鼻が曲がったらどうしてくれるっ!?」
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