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第20話 探している答えは、すでに自分の中にあるのです。
「あ、ごめんなさい。姉上」
我に返ったシギスムントは慌てて菓子にかじりつき、噎せてしまった。背中をさすりながらオフィーリアは涼しげな笑い声を上げた。
「急ぐことはありませんわ。ゆっくりでいいのです」
オフィーリアの言葉は目の前の出来事だけでなく、シギスムントが常に苛まれている焦りをもなだめてくれるようだった。
「……姉上は、ずっと側にいてくださいますね」
懇願するような声の響きにオフィーリアが目を瞠る。彼女は嬉しそうに頷いたが、その微笑みにはどこか寂しげな翳が漂っていた。
「もちろん、わたくしは一生陛下のお側におりますわ。陛下がそれを望まれる限り」
「シギが望んだってダメなんだもん」
急に子供っぽい口調になった。拗ねた気分になるといつも精一杯背伸びをしておとならしくふるまっている反動か、実年齢以上に子どもに返ってしまう。わかっていても止められない。
それを知っているオフィーリアは叱ったりたしなめたりせず話を合わせた。
「まぁ、何故ですか? どうしてそんなことおっしゃるの」
「だってシギはずっと側にいてほしかったのに、辞めてどこかへ行っちゃったんだ」
「誰のことですの?」
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