第20話 探している答えは、すでに自分の中にあるのです。

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「探している答えは、すでに自分の中にあるのです。ただそれを思い出せばいい。今度夢で会ったら彼にそう言ってあげなさい」  シギスムントはこくりと喉を鳴らした。まったく別の人と会話をしているような気がする。でも全然怖くない。  いや、怖くないと言えば嘘になるが、少なくとも恐怖は感じなかった。聖廟の地下で女神の眠る柩を目にした時の畏れに、それはとてもよく似ていた。  ぱち、とオフィーリアが瞬きをした。呪縛が解けたように、ひしひしと感じていた言うに言われぬ威圧感が雲散霧消する。  にっこりとオフィーリアは銀のポットを持ち上げた。 「お茶、もう一杯いかがですか?」 「──あ。いただきます……。あの、姉上」 「はい?」  軽く小首を傾げ、オフィーリアが目を上げる。 「今、おっしゃったことは──」 「わたくし、何か申し上げましたかしら」  オフィーリアはとまどい顔で訊き返した。シギスムントは急いで首を振った。 「いいえ。何でもないんです。──このお茶、おいしいですね」 「それはよろしゅうございました」  ふわりとオフィーリアは微笑んだ。青空に浮かぶ雲のような微笑み。掴みどころがなくても、シギスムントは彼女の包み込むような笑顔が大好きだった。  それはいつも緊張を強いられて張りつめた心を癒してくれる。     
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