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平然と答えると、女性はさらに表情を険しくした。
「このわたしがそんな不手際をするとでも?」
「そうは思いませんが、念のため。下手に避けると反対側の足で背中を蹴られそうだし」
女性はふたたび舌打ちをした。姿勢を正し、ソニアに向かって慇懃な礼をする。
「大変な不作法を、……この者が」
じろり、と女性はギヴェオンを睨んだ。謝罪は自分のことではなかったらしい。苦笑いして頬を掻く彼を見て、間髪入れずに拳を叩きつける。またもやそれは紙一重の差で止まった。
ギヴェオンは顔をこわばらせるでもなく平然と言った。
「眼鏡壊したら弁償してくださいね」
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