第22話 まずはお茶を一杯召し上がってからです。

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「どうもこうもないわっ、あなたが現れてから変なことばかり起こるじゃないのっ。いきなり命を狙われて、お兄様が反政府過激派で園遊会で爆弾をしかけろと脅されて、フィオナが人質に取られて。特務は出てくるし、ナイジェルは死んじゃうし、お兄様は化け物に変身して、うちは火事になってお父様が死んだわ! それからまた銃でバンバン撃たれるし、いったい何がどうなってるの、頭が変になりそう。誰かちゃんと説明してよ……!」  昨日からの出来事が頭の中で爆発し、すっかり取り乱したソニアは幼子のようにわめき散らした。  興奮のあまり目が熱くなり、涙がぽろぽろこぼれる。堤防が決壊したみたいにわーっと泣きだしたソニアの肩に、ギヴェオンがそっと手を置いた。 「ええ、だからここへお連れしたんです。ここならゆっくり話ができると思って」 「最初から連れてくればよいのだ。回り道などするから余計にややこしくなる」  不機嫌そうにアビゲイルに睨まれ、ギヴェオンは困り顔で頭を掻いた。 「昨夜は警邏隊がやたら出動してて、あっちこっちで道路封鎖してたんですよ。特務の人たちもしつこくてねぇ」 「想定が甘い」  バッサリ切り捨てられ、ギヴェオンは「すみません」と神妙に謝った。  ぐすぐすと啜り上げるソニアに向き直り、真摯な口調で告げる。 「とにかく僕らはあなたの敵ではありませんから」 「信じられないわ! もう、誰を信じていいのか、全然わからない」 「まぁまぁ、ここはひとつゆっくりお茶でも飲んで落ち着きましょ~」     
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