第4話 お代は命でいただきます。(1)

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 帝国の政務を実質的に把握している宰相ヴィルヘルムは、建国千年祭をそんな憂慮を吹き飛ばすための絶好の機会と捉えている。 「そういう時に貴族が狙い撃ちにされたんじゃ、洒落にならないわよねぇ」 「外出を控えるようにと言われても、正式に招待されている園遊会や舞踏会、晩餐会なんかには行けるんだからいいじゃありませんか」 「全部室内か、せいぜいお庭よ。それに、社交辞令ばかりのつっまんない会話。ちっとも息抜きにならないわ。ねぇ、フィオナ。雨が降ってるってことは視界が悪いってことよね」  イヤな予感にフィオナは眉をひそめる。  ソニアは無邪気ににっこりとした。 「雨の日はみんな家に閉じこもっているもの。テロリストだってお休みなんじゃないかしら。出かけるとしてもガラス天井つきのアーケード街だわ。公園には絶対誰もいない」  ね? と小首を傾げて微笑まれ、フィオナは肩を落とした。結局フィオナは、ソニアのこの笑顔にとても弱いのだった。
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