第1話 ブラウニーズ特別家事使用人斡旋所へようこそ!

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第1話 ブラウニーズ特別家事使用人斡旋所へようこそ!

 目指す建物はアステルリーズの螺旋大通りからずっと奥に入った目立たぬ場所にあった。  街路樹が整然と並ぶ清潔な通りに面し、美しいファサードで飾られた建物が優美な曲線を描いている。  五月のそよ風に柳の枝がやさしく揺れた。  大通りが建国千年祭の祝賀でにぎにぎしく飾りたてられていても、ここはふだんと変わらぬ穏やかな風情を保っている。  時折行き過ぎる馬車の音さえ、数段ゆったりと聞こえた。  思い切ってノッカーを叩き、落ち着かない気分でしばらく待っていると、鍵を外す音がして静かに扉が開いた。  黒い立ち襟、肩の部分が大きく膨らんだ手首まで来る長袖の黒いドレス。輝くように真っ白なエプロンをつけた年若いメイドが愛想よく微笑んだ。 「いらっしゃいませ。お約束はございますか」  ドギマギと首を振る様子や服装で見当がついたのか、メイドは後ろに下がって無造作にドアを開いた。  かといって横柄になるでもなく、さばさばした口調で「こちらへどうぞ」と促すと、元通りに鍵を閉めてさっさと奥へ歩きだす。     
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