第12話 気概を見せろと言われても!

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第12話 気概を見せろと言われても!

「お兄様……っ」 「自分は違うと言うのなら、それを証明しろ。気概を見せてくれよ、ソニア。我々貴族を束ねる王家には一刻も早く目を覚ましてもらわなければならないんだ。この国を守るためなんだよ。あの弱々しい皇帝と皇妃で帝国を支えきれると思うか? まずは本人たちにそれを自覚してもらわないと。自分が弱いってことがわからなければ、鍛えることなどできないんだ。そうだろ? ソニア。僕は間違ったことは言ってないよな。正しいよなぁ?」  兄の声にはまぎれもない狂気があった。ソニアは絶望にふるふると首を振った。いったい何が兄をこんなふうにしてしまったのだ……。 「やってくれるな? おまえが仕掛けたとは誰も思わないさ。まさかグィネル公爵令嬢がそんなことするはずがない。おまえは絶対疑われないよ。でも、宮廷には緊張感が戻るはず。僕らはそれが目的なんだ。な、手伝ってくれるだろ?」 「いやよ! 誰かケガでもしたらどうするの。もしかしたら死人が出るかもしれないわ」 「少しくらいの犠牲はやむを得ないさ。この国を守るためだ。ソニアだってアスフォリア帝国を守りたいだろう?」     
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