第22話 まずはお茶を一杯召し上がってからです。

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第22話 まずはお茶を一杯召し上がってからです。

「わかってる」  つまらなそうに言い捨て、女性は拳を引いた。硬直するソニアにギヴェオンは笑った。 「心配しなくても大丈夫ですよ~。所長は寸止めが得意なんで──へぶっ」  今度の蹴りは脇腹にもろに食い込んだ。いつ身を翻したのかもわからない早業だった。ソニアはただもう唖然とした。 (な、なんなのこのひと……、っていうかこのひとたち……!?)  こほんと澄ました咳払いをひとつして、女性はスカートの裾を摘んで優雅に一礼した。 「わたくしは当斡旋所の所長でアビゲイル・ブラウンと申します。今回この者をお屋敷に派遣した責任者として、ソニア様が受けた数々の苦難に対し心よりお詫び申し上げます」  確かに次から次へと大変な目にはあったが、それは別にギヴェオンのせいではない、はずだ。それとも──。ハタと思い当たり、ソニアは眉をつり上げた。 「──やっぱりあなた、あのわけわかんない暗殺者とグルなのね!? 〈月光騎士団(ルーメン・ルーナエ)〉とかいう過激派結社のメンバーなんでしょ!?」  糾弾されたギヴェオンは目を白黒させて迷惑そうに手を振った。 「だから違いますって。もー、どうしてそうなるかなぁ」     
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