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彼女は、紅茶を入れる準備を始める。
彼は、ケーキを受け取りに外にでかけた。
たった3分。
されど3分。
かれを引き止めた3分で、彼女は彼を失ってしまった。
引き止めないで、部屋に入れてから話せばよかったと彼女は悔やんだ。
彼女は、彼から送られたメッセージとインターホンに残された、彼との最後の3分間に交わされた会話が彼女に残された物だった。
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彼が隣に居るのが当たり前だと思っていた。
”今から行く”
彼は私にそっけないメッセージをくれる。
これから、彼が好きなオータムナルの準備を始める。
ポットに入る分量と二人分のお湯を沸かす。
それから、二人分の茶葉を取り出して、軽く振るいにかける。小さな茶葉やゴミを取り除くためだ。
一度目のお湯は、ポットとカップを温めるのに使用する。
少しだけもったいないが、彼がこの方法が好きなのだ。
二度目のお湯を沸かす。
今度は、たっぷりと沸かす。
お湯がフツフツと言ってきたら一旦火を止める。お湯を休ませるのがいいそうだ。
その間に、オータムナルによく合うミルクを作る。
ダージリンとしては茶葉も厚くてしっかりしているし、渋めになる。
彼は、これに、甘めに作ったミルクを入れて飲むのが好きなのだ。
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