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転校生
え、いや困るんだけど。関係って、幼馴染なだけじゃないの? 他にないでしょ。みんな誤解してるよ。このままだと、後で何人かの集団に体育館裏に呼びだされそうだ。
これでは変な噂が広がりかねない。
この会話の原因である(何もしてないのに)僕が出るしかない。
そう決意し、重い腰を上げ立ち上がろうとした矢先━━
「コンコン」
教室の前のドアが叩かれた。
さっきまで盛り上がっていた誰もが、一斉にドアへと視線を移した。教室に緊迫感が漂う。
静寂した中、先生が あっと声を上げ、慌ててドアへ向かった。
先生はドアの向こうの人と話をしている。
少しすると先生は教壇に戻り、教壇に両手をおいて、僕たち生徒に話し始めた。
「えー、少し不祥事があり、俺もうっかりしていた」
不祥事とは二人の言い合いだろう。
「実は今日、転校生がこのクラスに在籍することになった」
皆から驚きの声が上がる。
一人の男子が質問した。
「え、女子ですか?」
聞きたくなるのも無理ない。
「ああ」
先生は小さく頷いた。途端に男子が話し出す。
女子は男子にうるさいと叱っているが、話してる人もいた。
お前ら、いっとくけどドアの反対に本人いるんだぞと、僕は心の中でクラスメイトに諫言した。
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