月を飼う男

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月を飼う男

 となりを見やると、月を飼う男が居た。  何のことは無い。水盆(すいぼん)に映る月を抱え、自分のものだと思う男が居ただけのことだ。  それを知った時、私の体はその男から離れる準備を始めた。いかれた人間は何をするか分からない。笑いながら私を犯すことだって出来るかもしれないのだ。  そんな私を男は見抜いていた。
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