95回目。

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95回目。

 「アタシ、先生のこと好きになっちゃったんですけど、どうすれば良いですか?」  「どうもこうもない。諦めろ」  この類いの質問をすると、ほぼ100%この返答をされる。  アタシが頬を膨らませて「先生のイジワル」と言っても、先生は身も凍るような視線でアタシを見つめるだけだ。  「古典の補習中だ。私語は慎みなさい。それと」  「それと?」  キラキラと期待の込めた瞳で先生を見つめると、おうむ返しするアタシを一層細めた目で睨んで咳払いする。  「教師と生徒の恋愛なんてありえない。少女漫画の読みすぎだ」  「てことは、先生も少女漫画読むんですねぇ」  「否定はしない。さっさと補習終わらせるぞ。君はちゃんと勉強すれば出来る子なんだから」  凍てつくような瞳にアタシはドキッとした。目鼻立ちが整っているにも関わらず、生徒に対し冷たい態度を取るので、クラスメートはいつも怯えている。  ――でもそういうところが。  アタシはかっこいいと思う。今だって、目と目を合わせて見つめただけで、心拍数が急激に上昇し、心音が自分の耳で確かめられるほど胸が高鳴っている。  この高鳴りを抑えられないぐらい、アタシは先生のことが好きなんだ、大好きなんだ。  古典の授業やテスト、補習、講習。     
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