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先生の授業を受けていく内に、先生への気持ちが幾度も重なっていく。
先生は古典の教科書を眺めながら、深くため息をついた。そして私語を慎めと言った先生の方から話しかけてきた。
「毎度よく飽きないな。これで何度目だ?」
「93回目です。そのうち93回は断られている、というより冷たくあしらわれました」
「断ってなかったら93まで回数伸びません」
「はっ……ホントだ」
「効果音まで自分で言わないで下さい」
「……んで……」
「ん?」
「じゃあなんでっ……」
口を開きかけたが、キュっとつぐむ。その些細な様子を先生は見逃さない。そうして、アタシが次に何を言いたいかまで当ててしまう。
「"じゃあなんで正式に断らないの"と言いたいのか?」
「……っ……!」
正にその通りだ。教師と生徒の恋愛なんてありえない、と呟く人間が、なぜハッキリと断らないのだろう。
あの返答が、先生なりの断り方なのか。
それともアタシの告白が、届いていないのか。本気だと思われずに、ただの"茶化した遊び"とでも考えているのだろうか。
アタシの告白は本気だ。
先生への愛を込めて伝えている。
手紙でも、電話でも届かない、とびっきりの愛を。
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