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だってアタシは、まだ先生の年齢に釣り合うほどオトナじゃなくて。
大人に守られるぐらいの小さいコドモだから。
――こうやって先生に、愛を叫ぶことしか出来ない。
「……アタシ本気です」
真っ直ぐ前を向いて口を開く。先生はちゃんとアタシの目を見て「うん」と頷いた。眼鏡越しに見える瞳は、どこか悲しげで揺らいでいる。
「先生に恋するなんて、大人びてるとか、長く一緒に居るから気持ちが揺らいでるとか言われるけど」
アタシは先生の顔をハッキリ見る。「凍てつくような瞳」ではなく、「暖かく誰かを見守る瞳」に訴えかける。
「本当に好きなんです。好きになっちゃったんです」
自然と、涙が零れた。
「……さっき、教師と生徒の恋愛なんてありえないって言ったよね? だから佐々木の気持ちには答えられない」
――やっぱりダメか。
「でもな、本当は嬉しかったんだ。先生に93回も本気で告白してくる人なんて、居ないから。こんなに一途に思ってくれる人がいるってこと、凄く嬉しかった」
「そりゃあ先生への愛は誰にも負けませんよ!」
「君は開き直りが早いな……。……だから待つよ」
「へっ?」
「高校卒業するまで待つよ。卒業したら、ちゃんと考える。そのときまで佐々木が一途に思ってくれていたらな」
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