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らぢお体操第一。体を縦に曲げ伸ばす運動。
消防車のけたたましいサイレンの音と、ドップラー効果によって遠ざかったり、またやってきたりしているのが瞬時に判断ができるくらいの救急車の群れに、緊急車両の通行をスムーズに行うために厳重な交通規制を敷く警察車両のパトライトの集団が路肩にひしめき合いながら混在しているのは、およそ三十分前にヘリが墜ちて激しい炎上を続ける繁華街を中心とした半径2kmの、都心に近い地域である。
そして、その様子を一目見ようと歩行者に野次馬。これに各種マスコミも大量に取材と称して集まっている。
「夜中でも明るく朝までネオン消えぬ盛り場が、ごうごうと燃えて、」
「…ですね」
「まるで俺が中学の時にやったキャンプファイアを見てるみたいだ。お前さ、林間学校とかでやったことあるかキャンプファイア?」
「はい?…いえ、ありませんが。最近は危ないからしないんじゃないでしょうか?」
「そうなのか?」
「よくは知りませんが、うちはやりませんでしたから」
「ふーん」
こう不謹慎な物言いをしながらも、ちゃんとやるべき歩行者誘導の職務は忠実にやっている三十すぎの巡査部長は、相方の、年のころは二十歳なかばでほそっこい体型の、身体的には頼りない感じの同僚に対してこれまた不謹慎な質問をして、なかばうんざり顔の同僚にさらりと受け流されている。
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