らぢお体操第一。腰をひねりながら腕を回す運動。

3/4
前へ
/12ページ
次へ
らぢお体操のリズミカルなピアノの音階にあわせて操縦桿を軽く握りしめながら、ひたすら元気よく腰をひねりながら腕を左右に振って運動するパイロットの姿であった。 この動きにあわせヘリは右に左にと操られて、無理くりな機動で(きし)む気味の悪い異音を発しつつ、機内に居る一人の能天気な女を除いて氷ついた眼で近付いたり離れたりを繰り返す地面を、自分たちの体をシートに押し付けて凄まじい横揺れに耐えながらただ、見詰めるしか手段がなかったのだ。 当然。公共放送のスタジオで中継を眺めていた司会のコンビ芸人と、和気あいあい楽し気な笑顔で番組スタートの合図、、、 ≪ベッチュリー♪♪≫ を、元気いっぱいにカメラに呼ばわっていた色鮮やかなコスプレに身を包んだキッズタレントの子供たちも、もうどうしていいかわからずひな壇から立ち上がり右往左往して混乱した。 その混乱するスタジオで、自身のベンチ椅子から身を乗り出したコンビ芸人と、ヘリ内部の様子を乱れまくりながら映し出すパネルに駆け寄ったスタッフがお互い必死の形相でヘリに乗る芸人と売れないアイドルモドキに対して「今ヘリはどうなってんの?」とか、「ヘリ何とかできない?」とか問い叫びかけている。     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加