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「無理じゃないよ!やるんだよ、徳則!」
そう言ったのは恭平だ。俺も深く頷く。
「決められた人生、正しい生き方なんてつまらないよ。そんなのこっちから願い下げだ!俺たちの人生は俺たちで責任もって自分で決める。徳則がしたいことはきっと大人になっても何か形になってきっと力になる!」
すごい力説している恭平。普段そんなキャラだっけ?と思っていると徳則が、
「恭平君はどうなんですか?」
冷静にだけど好奇心満載の目で恭平を見ている。恭平はうーんと悩み、
「僕さ、マリィちゃん好きだったんだけど」
マリィちゃんは「私、メリィさん。今あなたの後ろにいるの」というメリィさんの娘だ。フランス人形のように可愛らしい顔の女の子で恭平が片思いしていた相手だ。僕と徳則は恭平が恋しているのを知っている。
「マリィちゃん、彼氏できちゃって」
ガクッと肩を落とす恭平に俺は肩を叩き無言で慰める。
「あんなに可愛らしい方でしたからね」
徳則も同調すると恭平は首を横に振る。
「?]
「マリィちゃんは誰よりもメールの返信が早いんだ。そして、今付き合ってる彼氏にあんなにべったり。僕の女子の理想像だよ!…だからもう何度あの彼氏が僕だったらいいのにと思ったけれど。マリィちゃんを超える女の子を彼女にするのが僕の夢かな」
いると思う?俺が徳則に無言で話しかけると徳則がいるわけないでしょと無言で返してくる。いろいろもうそろそろ恭平をどうにかしたほうがいいかもしれない。けど俺たちは元気に語る恭平に何も言えなかった。
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