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「おとなしそうだからっていう判断で決めてはいけませんよ」
徳則は冷静に言うと陣を張る作業を再開する。
「まあ、会って話せば分かるんじゃない?」
明るく恭平は言うけれど僕はじっと写真を見続ける。陣が完成すると3人で無心に呪文を唱えないといけないので一旦、疑問を頭の隅に置いておく。妙に胸がざわついた。
「東高校であってるよな?」
彼女の顔写真に写っている上半身の制服の赤いリボンの女子や学ランの男子たちがこちらをちらちら見ながら校門から出ていく。どうやら下校時間みたいだ。
「すごい見られてるね」
「まあ、こういった視線は慣れていますが」
美しい顔、1位、2位を争う二人は余裕の姿勢で写真の女子を探している。
「田中百合子…田中百合子どこだ?」
俺が何度も名前を呟いていると顔を赤らめた女子がこちらに歩いてきた。
「田中さんに用があるのですか?」
俺にじゃなく徳則に聞く女子。
いや、いい。こんなにイケメンな徳則と俺を比べること自体間違いだ。
心の涙はしまっておこう。
「ええ、どこにみえるかご存知ですか?」
上目遣いに見てくる視線を華麗に流し聞く徳則。さすが。
「まだ3年Ⅽ組にいますよ。呼びましょうか?」
俺たちは彼女にお願いし田中百合子を呼んでもらった。
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