俺は断じて受けではない

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「……あの、アイドルが一般人とこんなことしてていいんですか」 「全然問題ないよ。女の子だったら話は別なんだけどね。」 おずおずと質問してみるとサラリと答えて俺に微笑む。変装をとった金子裕哉はテレビで見るよりもイケメンで何をしていても絵になる。 「忙しいんじゃないんですか?」 「レッスン抜け出して来ちゃった。」 さらっとおサボり発言をしたと同時に春吉さんがココアとオレンジジュースを持ってきてくれた。 「君って奴は…」 「許してよ春吉さん。」 ははっと笑う金子裕哉は反省する気などないようだ。春吉さんは呆れたように笑ってキッチンの方に戻って行った。 俺はその様子を眺めていたが視線を感じて金子裕哉の方を振り返る。 「やっぱり君、芸能界に入った方がいいよ。」 「スカウトですか?金子裕哉さんが直々に?…嬉しいですね。」 「本気で言ってるんだよ?」 確かにその目は本気に見えるが、俺としては芸能界に入る気なんて全くない。 「遠慮しておきます。気ままに生きたいし、縛られるの好きじゃないんです。」 俺はそう言ってストローでオレンジジュースを飲む。 「残念だな~振られちゃったよ。」 笑いながら頭をかく金子裕哉。俺は多少の罪悪感を感じつつ、店内に漂ってきた甘い匂いに心を奪われていた。
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