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「お前また女と遊んでたのか?」
「またって、兄貴だってそうだろ?…今日は友達とちょっと話してた。」
兄貴は白米をモグモグと食べながら、ふーんなんてどうでもいいような返事をした。
「なんか最近物足りねぇ。」
「ハァ?そんなモテてるのに物足りないって……世の中の非モテの気持ちにもなってみなよ。」
俺がそう言うと箸を置いて俺をじっと見つめてきた。
「この間タケルが間違えてホモのDVD借りてきてよ。見てたんだよなー。」
「…へえ、タケルさんが。」
タケルさんは兄貴の中学からの友達で、よく俺の家に遊びに来てるから俺とも結構仲が良い。そんなタケルさんは格好いいんだが残念なイケメンって感じでモテなくて、よくAVを借りて兄貴の部屋で見ていた。
「よく同性であんなことできるよな。俺だったら無理。」
「まぁいいじゃん。愛の形はそれぞれみたいな。」
「…俺さ、この間見たんだよ」
「…見たって何を?」
俺はなんだかドキドキとしながらその返事を待った。いきなり同性愛のことを話し出すからそりゃあもう驚いている。
「…まぁいいや、この話はまた今度で。」
「なんだよ。意味わかんねぇ。」
俺は平然と飯を食っているフリをしているが内心バクバクでちょっと怖かった。友人にバレて気まずくなるのも嫌だが、家族にバレるのはわけが違う。気まずいってレベルじゃないだろう。
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