俺は断じて受けではない

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「どうして連絡くれなかったんだよ~ちゃんと連絡先渡したのに。」 「あー…忘れてました。」 もちろん嘘だ。 テレビに毎日のように出てるこのアイドルから連絡先をもらったんだ。自慢したくてたまらないくらいずっと頭の中にあった。 「そっか…」 眉を八の字に下げてしょんぼりしている金子裕哉はなんだか犬の尻尾と耳が生えているように見えた。 「とりあえずカフェにでも行こっか。」 (マスクとメガネをつけていて表情が分かりにくいが)ニコリと微笑んで自然な動きで俺の腕を引いた。 ………え? 「あの、のみもの…」 「いや、いーのいーの。あれ壊れてるみたいでお金入らないから。…カフェで飲もう?」 いや、そうじゃなくて俺の飲み物……てか、あの自動販売機壊れてないし、普通だよ。そう思っている間にも俺の足は自動販売機から遠のいて行く。 「お金なら心配いらないよ?僕が払うから。」 …そういうことでもないんだよ。
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