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「ふ…んッ……あ、」
タケルさんの唾液だか俺の唾液だかわからなくなったものが俺の口の端に垂れる。息遣いもさっきよりもはやくなって、気持ち良くって、頭の中は真っ白だ。
もう無理…息が……
なんて思った時
─ トン トン トン
誰かが階段を下りる音が聞こえた。きっと兄貴だ、やばい。俺は必死に抵抗するがこの行為を続けたい自分もいるし、力も出ないし、どうしたらいいのか思考力もない。
そんな事をぼーっと考えているうちにその音は段々近づいてきた。
「タケル?お前なにやって……洸?」
俺たちを見つけて話しかけてきた兄貴。良かった、気づかれてない。
俺とタケルさんは兄貴が現れる直前にキスをやめた。もっと続けたいとも思ったけど、やっぱりバレたらまずいし、、、
俺は今息が荒いし、視界がぼやけてるからきっと涙目になっているんだろう。幸い、廊下は暗かったから兄貴には気づかれなかった。
「俺ちょっと酔っちゃってるみたいだ。水飲んでくる。」
そう言ってタケルさんはリビングに続く扉を開けて行ってしまった。
なぜか俺と兄貴の間には沈黙の時間が流れた。なんだか気まずい。タケルさんとあんなことしたなんて知ったら兄貴は…
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