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隣の部屋の女の子
隣人の佐藤綾は可愛らしい人だ。
ふんわりとしたショートボブの似合う女性でぱっちりとした瞳が印象的な人。
朝、仕事へ行く時、ちょうど同じような時間に部屋から出るので、よく顔を合わせる。
その度にっこりと穏やかに笑って挨拶をしてくれる。
可愛らしい笑顔にドキッとするものの隣人という立場は変わらない。
それにあんなに可愛い子、彼氏がいるに決まっている。
「ねぇ、見たいって言ってた映画借りてきたよ」
「あれ、部屋掃除してくれたの?ありがとう」
「わぁ、今日のご飯すごく美味しそう!」
時々聞こえる彼女の話し声は親しげで嬉しそうだ。そしてどこか艶めいている。
姿を見たことはないが彼氏と住んでいるに違いない。
彼女の恋人ならきっと背が高くてかっこよくてお金もある…素敵な人だろう。悔しいがただの隣人には太刀打ちできない。
いや、いや、もしかしたらずっとあなたのことが気になっていて……毎日でも挨拶したいです、なんて告白があるかもしれない。
そんな妄想を膨らませては虚しくなって夕飯のインスタントラーメンをすすった。カップラーメンじゃないだけ偉いと思っている。
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