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はじまり
「んー、今日はどっちにしよっかなぁ……」
フリルやリボンのたっぷり付いた水色ワンピースに、白いショート丈のカーディガンを羽織ったその声の主は、自室の白い3段カラーボックスの前で屈みながら、目の上で切り揃えられた前髪をつまむ。
胸まである赤みがかった茶髪は、上の方でポニーテールにしてある。
彼女は少し眉間にしわを寄せ、自分の目線に合わせた3本の香水ボトルを見つめていた。
その香水ボトルはガラス製で、1本1本形が違う。
全て彼女の手に収まるくらいの大きさだが、それぞれ、淡黄色の液体が入った角の丸い星型、
ルビー色の液体が入った横向きのハート型、
全体を迷彩柄で覆われた、唯一中身が見えないドクロ型。
更には丁寧に横一列に整列され、向きまで揃えられている。
そのカラーボックスを中心に、色んな匂いが混ざり合ってできた、甘ったるい香りが部屋中に広がっていた。
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