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くすくすと大家さんは零す。彼女は慌てて、手を振ると、
「やだ、違いますよー!これから女の子の友達とケーキ食べに行くんです 」
「なに、違うの? 残念ねぇ。でもケーキいいわねぇ、この時期だと桜のケーキとかもありそうね。
ゆっくり楽しんでいらっしゃい 」
大家さんは、彼女の浮いた話がなかったことが、まるで自分のデート予定が無くなったかのように残念そうに、口元を押さえた。それでも笑みを讃える大家さんに、彼女は元気よく、
「うふふ。はい、行ってきます!」
言うと、彼女は変わらぬ笑顔で会釈をし、その場を後にした。
この過ごしやすい気候と、家の近所の和やかさに、彼女の表情もにこやかさを増していた。
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