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昨日の疲れで死んだように寝た俺は朝になり目を覚ました。 なんか…天井近くないか…? そんな疑問が生じる。まだ寝ぼけているんだ。 俺は朝に新聞配達のバイトをしているから慣れで、目覚まし時計をかけなくても起きれる。 しかし、手元にあるはずのスマホがどこにもない。 その焦りからか目が覚めた。 ここ…実家だ…。 何故ここにいるんだろう。 夜中にお酒でも飲んで酔ってきたのか? でも…確か冷蔵庫にはなかったはずなんだけど…。 そんな風に冷静に考えてみる。 しかし、次の瞬間全ての考えを壊された。 俺の寝ている部屋に誰かが入ってきたのだ。 そちらの方を見る。そして俺は「あ……」と言葉を漏らした。 こいつは見たことがある。 紛れもなく俺の弟だ。 でも明らかに小さすぎる。 数年前の弟みたいだ…。 「あっ!」 「どした?」 声を聞いてみてもやっぱりそうなのか? 俺はどうやら酔ってきた訳ではなく、過去に遡ってきたらしい。 嘘…だろ…笑 夢みたいだ。自分の人生をやり直せるんだから。 今はちょっとした嬉しさがこみ上げてきた。 でも未来を知っているからどうにか対応しないといけないんだろうな。 俺が戻ってきた世界ではまだ俺は中学生になろうとしていた時だった。 途中とかじゃなくて助かった。 今日は始業式だった。 なんとか周りに合わせて終えることができた。 周りの人も自分も若くなっているから違和感でしかない。 もう何年も会ってない友達や先生にも会えたしね。 ホームルームが終わり、早めの下校となった。 他の人より速く教室を出て自宅へ帰った。 前の世界から8年も前でまだ生まれていないものや知られていないものの知識があって意外と大変だ。 この世界に対応していかなければならないと言う、課題が生まれてしまった。 「これからどうすればいいのかな…」 独り言を呟く。 まぁ、今は人生をやり直すことに集中して、難しいことは明日考えよう。 そう思い、家までの懐かしい通学路を通って帰っていった。
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