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あぁ、今夜はデートの予定だったな。うっかり忘れていた大事な日程を思い出し、妻に確認する。
「今夜、デートだったな」
「えぇ。楽しみにしていたわ」
美しい妻はニッコリと微笑む。
「もう夜だな」
「そうね。月も無く真っ暗よ」
窓から外を二人で確認する。今日は新月で辺りは闇に包まれている。
「俺の服は……」
「もちろん準備しているわよ。早く着替えましょ?」
出来る女の代表格である妻は俺の服をクローゼットから取り出し、自分自身も着替え始めた。
「俺のアクセサリーは?」
「今日は少し変わったコレがいいと思うわ」
「お前のは?」
「私はいつものアクセサリーがいいの。もちろん磨いてあるわ」
俺の贈ったアクセサリーよりも、独身時代から愛用しているアクセサリーがいいらしい。少し寂しい気持ちになるが、恍惚とした表情でアクセサリーを体に纏う妻には何も言えない。
「じゃあ行こうか」
「えぇ。デートを楽しみましょう」
家の灯りを全て消し、ご近所の迷惑にならないように音を立てずに外に出る。目だけ出した全身真っ黒のボディスーツで闇夜に紛れる。
俺のMaxim 9は闇夜に紛れるが、妻の全身に仕込まれたナイフは鈍い輝きを放っている。
「絶好の暗殺日和だな」
「そうね。早く行きましょう」
今夜も俺は妻と一緒に暗殺を楽しむ。最高のパートナーであり最高の妻を手に入れた俺は本当に幸せだぜ。
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