二章 生かされた命

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 東の空が、うっすらと白みはじめた頃、リクトは孤児院の玄関先で、昨日用意しておいた荷を、馬の背に乗せていた。最後に親方からもらった小太刀と、普段狩りで使っている短刀と弓矢を携えると、玄関からヴィーラとシェナが出てきた。 「準備できた?」  ヴィーラの快活な声が、まだ夜気が残る村に響いた。一方その隣には、ぼうっとしているシェナが、白い杖を両手で握りしめながら立っていた。 「今終わった。――シェナ、大丈夫か?」 「……え? あ」  シェナは、ぼんやりとした目でリクトを見上げた。 「はい……。その、こんなに早起きしたのは、はじめてでして……」  確かに、リクトたちが起床した時、空にはまだ星が出ていた。こんなに早く起きるのは、猟師をしているリクトでも珍しい。そのため、村はまだしんと静まり返り、まるで自分たち以外誰もいなくなってしまったかのようだった。
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