二章 生かされた命

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「あんま無理すんなよ。――それより、ヴィーラ……」  リクトはスッと目を細めてヴィーラを見た。ヴィーラはきょとんとした顔で首を傾げる。 「何?」 「それ、重いだろ?」  ヴィーラは荷物と一緒に大太刀を背負い、腰には短刀を帯びていた。大太刀は、自身の肩ぐらいまであり、見るからに重そうだった。 「シルファナ村まで結構距離あるぞ。大丈夫か?」  しかし、ヴィーラは笑みを浮かべ陽気に答えた。 「平気平気。鍛えてるから問題ないよ。それに、わたしがこの刀を使ったら、どれだけ怖いか、リッ君なら知ってるでしょ?」  リクトは口を閉ざした。ヴィーラの笑顔に、威圧的な色がにじんでいたからだ。それは、ヴィーラの強さをよく知っているリクトだけが気づける感覚だった。 「ほら、早く行くよ。お父さんたちが門で待ってる」  そう言いながら、ヴィーラは、まだぼうっとしているシェナの背を押した。リクトは軽くため息をついて、荷馬を牽いてその後に続いた。  そして、村の門で村長とヴィーラの両親に見送られ、リクトたちはシルファナ村へむけて出発した。
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