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ガーブは眉をピクリと動かした。
「言ってみろ……」
「正規軍の将軍が関わるとなると、皇宮で何か事件があったんだろう? 封術師をそれだけ連れてるってことは、俺と同じ神憑人がらみ……」
リクトは眉根に力を込めて続けた。
「そして、その神憑人は、シェナの兄貴――皇太子ロドル様か?」
ガーブの表情が一気に険しくなった。他の兵士も、殺気のこもった目でリクトを睨んでいる。
「この状況でよく頭がまわる。良い洞察力と精神力だ。神憑人の余裕から来るものか? それとも、邪神の力か?」
「は? 邪神? ちょっと待ってくれ。俺の中にいるのは、アルスっていう神獣だぞ?」
それを聞いた瞬間、ガーブはさっと表情を変えてシェナを見た。
「獅子神王? ……まさか、あなたは、それを使って……」
シェナはうつむいたまま、小さく頷いた。ガーブはこわばった顔でリクトとシェナを交互に見ながら、独り言のように呟く。
「そ、そうか……。それなら皇子を……。しかし……本当に? 神喰の獅子が……」
(おや? この反応……)
リクトは、ガーブの反応を見て目を細めた。悪知恵が働き、リクトはにやりと笑った。
「俺と取引しろ」
突然のリクトの言葉に、ガーブはピクリと体を揺すり、しかし、訝しげにリクトを睨んだ。
「どういうことだ?」
「俺は、俺の中にいる神獣を祓いたい。その方法があるなら、ぜひ試してほしい。俺とヴィーラの身の安全を保障し、神獣を祓ってくれるなら、あんたらに力を貸そう……」
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