2人が本棚に入れています
本棚に追加
マリアは、あまりにも単純バグが多くて呆れ、さらにコピーされてばらまかれた同じバグを修正する落ち穂拾いに飽きてきて、プロジェクトリーダBのところへ相談しに行った。
「あのー、あまりにバグが多くて――」
「時間がかかってもいいからやって」
四十代の切れ者といった風体のBは、マリアではなく自分のパソコンのモニターを見ながら返事をする。
「コピーされて同じバグが大量に――」
「grepかけてsedで置換とか」
「単純バグが――」
「単純なら見つけるの楽じゃない? 残業代払わないって言ってないんだから、やって」
取り付く島もないマリアは、「失礼しました」と蚊の鳴くような声を残してその場を去った。
最初のコメントを投稿しよう!