1.開発する気、あるの?

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「先輩。あのお怒りのお客様、怖くないんですか?」  ゆっくり振り返ったマリアを見て、目は笑ったままのタケルが、口を一文字にする。 「あんた、顧客の怒号なんか、そよ風よ。エンドユーザの(ふん)(えん)と比べればね」 「先輩……」 「何よ? (ふん)(えん)って噴火した火山の煙じゃないわよ」 「いえ、ネクタイ――曲がってます」 「あら、やだー。直してくれるぅ? 私、この体勢じゃ、無理」 「私もです」  彼女は、タケルに見えるようにお盆を持ち上げた。
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