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完全に自分の机と周囲との壁を作ってしまったカンナは、どうやってコミュニケーションを取るのだろうと思っていると、社内のチャットルームに「Kanna」のハンドル名で突然現れた。
「Kanna>HさんからXサブシステムの設計書を見せてもらいましたが、設計したのは誰ですか?」
挨拶抜きの質問に、タケルが書き込んだ。
「Take>こんにちは、Kannaさん。設計書は顧客の承認を得ています」
間髪入れず、再質問が来た。
「Kanna>どこぞが承認したなんか正直どーでもいい。誰が設計したのですか?」
ムッとしたタケルが、キーを強めに叩く。
「Take>設計者が誰か、が関係あるのですか?」
「Kanna>ある。異常系の処理がまるでない。これは根本的な問題。プログラムの8~9割は異常系の処理。それを抜く発想の持ち主を知りたい」
「Take>なぜですか?」
「Kanna>上に進言して設計から外れてもらうため」
チャットを覗いていたみんなは、息を飲んだ。
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