4.神の手、降臨

5/7
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
 完全に自分の机と周囲との壁を作ってしまったカンナは、どうやってコミュニケーションを取るのだろうと思っていると、社内のチャットルームに「Kanna」のハンドル名で突然現れた。 「Kanna>HさんからXサブシステムの設計書を見せてもらいましたが、設計したのは誰ですか?」  挨拶抜きの質問に、タケルが書き込んだ。 「Take>こんにちは、Kannaさん。設計書は顧客の承認を得ています」  間髪入れず、再質問が来た。 「Kanna>どこぞが承認したなんか正直どーでもいい。誰が設計したのですか?」  ムッとしたタケルが、キーを強めに叩く。 「Take>設計者が誰か、が関係あるのですか?」 「Kanna>ある。異常系の処理がまるでない。これは根本的な問題。プログラムの8~9割は異常系の処理。それを抜く発想の持ち主を知りたい」 「Take>なぜですか?」 「Kanna>上に進言して設計から外れてもらうため」  チャットを覗いていたみんなは、息を飲んだ。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!