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3月のはじめ、私は傷心旅行に来ていました。
婚約を破棄されたのです。
彼は私を捨て部長の娘、マルゲリータ可南子と駆け落ちしました。
マルゲリータは、ズッキーニのような頭をした帰国子女で、お世辞にもかわいくありません。
けれど、彼はマルゲリータを選んだのです。
私は、ショックで拒食症になりました。
げっそりと痩せた受付嬢の私は、うわ言で「マルゲリン」と呟くようになりました。
そんな私を心配した副部長は、年次有給休暇の申請用紙と、1万円札を3枚そっと握らせてくれました。
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