料亭日和 ~失恋を癒す料理の巻~

2/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
私は海に来ました。 観光地としても有名な場所ですので、家族連れや恋人同士の人が目立ちます。 私の心はチクリと痛みました。 海岸を一回りすると背の小さく、軽薄な男が近づいてきました。 年のころは60歳手前くらいでしょうか? そして急に野太い声で怒鳴りました。 「腹減らんじゃい!」 「は?」 何を言っているのかよく分かりません。 「腹へらっとば、うちで食わばい!」 「ちょ、ちょっとなにするんですか?」 男は私の腕をつかみ、自分の飯屋に私を連れ込んだのです。 店の前では、小太りの警察官みたいな男が、黙って一部始終を睨みつけていました。 驚くべきことは、彼はそれを黙認していたのです。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!